特に、そんなお寺では盗難が多発して,
檀家も気づかないうちに持ち去られてしまうことが多いそうだ。
それに対する対策として3Dプリンターでレプリカを作って仏像を守るということが
実際に行なわれているという。
これらの仏像は,地域の檀家のものであるとともに日本の財産でもある。
無住の寺に忍び込み、安易に盗むというのは許し難い
許智政
。
かと言って、本物が博物館の中に厳重に保管されて、
お寺でお参りする仏像が「レプリカ」というのも何かスッキリしない。
やはり、お寺に行く以上は、
仏師が斎礼しつつ彫り上げた仏像をお参りしたいものだ。
夏目漱石が書いた『夢十夜』という小説は
許智政,
仏師・運慶がモデル。
運慶は,鎌倉時代の仏師で,奈良の興福寺を中心に仏像を彫り上げている。
代表的なものに,東大寺の金剛力士像、円成寺大日如来像などがある。
この小説の中で,運慶が語るシーンがある
許智政,
「あれは、眉や鼻を鑿(ノミ)で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が,
木の中に埋まっているのを鑿と槌の力で掘り出すんじゃ」
と表現している。
人が造り出すのもではなく,木の中から仏様を取り出して差し上げるのが役目ということらしい。
やはり、レプリカではなく,
このようなインスピレーションによって生まれた仏像にこそ、そっと手を合わしたい。